♪ アルバム研究その4 ♪

☆時間地図


<どんなアルバムか>

 様々な“時間”をテーマに作ったアルバム。注目すべきは、いまや亜美さんの配偶者となった小原礼氏が初参加した点。過去 に何回がオファーを出していたものの、小原氏側がNGで、今回ようやく念願かなって…という事だったそうです。ただし、このときにはお互い別々の恋人がい たそうな…。(後に雑誌のインタビュー記事が情報源です。)

 レコーディングは、LAのスタジオでも行われておりますが、アース・ウインド&ファイアーのホーンセクションとして有名 なフェニックスホーンズも参加しております。彼らは、翌年の武道館公演の際にも来日し、その様子はビデオとして残っています。意外な組み合わせですが、亜 美さんのたっての希望であった様子。そういった意味で、注目のアルバムではあります。

<ジャ ケット&歌詞カード>

 3D写真になっておりまして、普通に見るとかなり見づらいです。誰が考えたのでしょう? 歌詞カードの方は、アナログ LPはカラーで写真つき。CDは、白黒で写真なし。なんでこんなにCDはサービスが悪いのでしょう? おまけに、LPには「3Dメガネの作り方」まで書い てあるのですが、CDにはなし。私は、最初にCDを買って、ごく最近LPを入手したのですが、歌詞カードを引っ張り出して唖然としました。むぅ〜、ポニー キャニオン許すまじ。

参加しているミュージシャンは以下の通り。

Guiter ; 今剛
Bass : 小原礼
Keyboards ; 佐藤準、尾崎亜美
Drums ; 山木秀夫
Horn : Pnenix Horns
Percussion :;Pauliniho da Costa
Quena: Takashi Asahi
Chorus : Amii's Child & The Griglies



☆Natural  Agency

参加しているミュージシャンは以下の通り。

Guiter : Paul Jackson Jr、Micheal Thompson、今剛(on "Endless Dream")
Bass:小原礼、美久月千春(on "Endless Dream")
Keyboards : 佐藤準、富田素弘(on "Endless Dream")
Drums : 山木秀夫
Percussion: 浜口茂外也
Sax : Kim Hutchcroft,Brandon Fiealds
Trumpet: Jerry Hey,Gury E.Grant
African Vocals - 佐藤竹善



☆POINTS-3

<どんなアルバムか>

 お馴染みのセルフカバーアルバム「POINTS」シリーズの第三弾。シリーズ前二作との違いは、カバーでない新作が1曲あることとCDのみでの発売と なったため収録曲が増えた事。バックのミュージシャンは前二作と同様に普段コンサートで演奏している面々(The Boze)を起用しての海外録音です が、一部ゲストミュージシャンも入っているのも違いでしょうか。

 収録曲の提供先は、観月ありさ3曲、真璃子3曲、野田幹子、上田浩恵、山口由子、高橋真梨子、横山知枝、光ゲンジが各1曲と結構バラエティに富んでま す。(ここは敬称略) 上田浩恵の「SOLO SAPIENS」がたしか86年なのでその後5年くらいの間に提供した作品ということになりますか。アルバムの録音時期は91年秋のようです。

 全体として提供先アーティストの年齢が若いのも特徴でしょう。亜美さんが自分で歌う曲は普通のラブソングというかシチュエーションがわかりやすい恋の歌 というのは少ないのですが、そういう意味ではややわかりやすい曲が多いようにも思います。シングルヒットを狙った曲ばかりだから当然かもしれませんが。

 私事になりますが、我が家ではこのアルバム発売の2週間ほど前に第一子が誕生してドタバタしてましたから、いつ買ったとか当時どうやって聞いてたとかの 記憶が一切ありません。多分出てからすぐ買ったとは思いますが、じっくり聞いたのはかなり後だと思います。したがって当時の音楽シーンについてはまったく 語れません。あしからず。


<ジャケット&歌詞カード>

 オモテ側はダルマの中に亜美さんの目、鼻、口がはめ込まれていてマイクの前で歌ってるというもの。歌詞カードの裏側もほぼ同じですが、ジャケットの裏側 は紅白の幕に「祝POINTS 其の三 尾崎亜美」と毛筆書きがしてあり、幕の上から亜美さんが覗いているというもの。

 とにかくジャケットからCDまで色調はほとんど紅白。シリーズ前作もそうでしたが、ヒットシリーズだからか「目出たい!」という雰囲気がいっぱい。歌詞 カードの中にも尾頭付きの鯛や「寿」の熨斗袋や大入袋などが満載。そう考えれば私の第一子誕生を祝ってくれてたのかも…。(そんな事はない) まぁ私が出 産したわけではないですし。(当たり前)

 ただ1曲目が「Waling In The Rain」だったこともあり、ジャケットのイメージとは相当違和感あり。私のようなコテコテのファンはご本人のキャラをよく知っているだけに受け入れます が、あの曲が好きで買いに行った人は思わず購入をためらったりしたかも…と今になって思います。まぁアルバムはヒットしたからいいのでしょうけど。(ちな みにオリコン調べでは15万枚の売上だったとか)




<各 曲解説>

「Walking In The Rain」(作 詞・作曲・編曲:尾崎亜美)

 これは当時マクドナルドのCMソングでした。その影響もあってまずまずヒットしたらしく、当時はテレビの歌番組でちょくちょく見かけたものです。大体は 亜美さんのピアノと当時のバンド「The Boze」の末原名人のギターだけだったような気が。富田さんもいたかな? テレ朝の「ミュージックステーション」でも見た記憶がありまして、この曲につ いて話題になっていたのも覚えてるのですが手元にビデオは残ってません。残念。

 30周年記念コンサートでは、この曲のバックで生まれてからこれまでの亜美さんの様子を映し出すスライドショーが見られました。そういう意味でご本人に とっても思い入れの強い曲のようです。

 特に具体的なストーリーを描き出してはいないので、後半ずっと続くリフレインの中でどんな情景を頭の中に思い浮かべるかは聞き手次第という曲です。多分 聞く人によって感じ方が相当違うと思います。


「鏡の中のユートピア」(作詞・作曲:尾崎亜美、編曲:富田素弘)

 これは観月ありささんへの提供曲。サウンド的には大人っぽいというか相当かっこいい曲なのですが、恋の世界への憧れと不安を感じて揺れ動く少女の心理を 歌ったものです。自分では子供だと思ってたのが、ある日鏡の中の自分の姿に大人の女の予感を垣間見てしまって戸惑うというところからの発想だと思います が、提供先アーティストのキャラを生かす絶妙の作品です。

 いや、それにしてもとにかくアレンジがかっこいいんですよ。サビでリズムが変わってからのシンセとかコーラスの入り方とか。流石です。


「届かなかったAIRMAIL」(作詞:夏目純、作曲:尾崎亜美、編曲:富田素弘)

 これは真璃子さんへの提供曲ですがそちらは聞いたことありません。作詞が夏目純さんで一時期亜美さんの作品を結構手掛けてました。この曲は亜美さんの ヴォーカルの繊細さを堪能できます。歌詞の背景には凄く深いストーリーがありそうですが、皆さんいろいろ想像してみて下さい。曲の味わいが深まります。私 は相当好きな曲です。


「With You」(作詞・作曲・編曲:尾崎亜美)

 野田幹子さんへの提供曲。これは当時野田さんの方もよく耳にしました。じっくり抑えに抑えていってサビでパッと弾ける展開ですが、亜美さんのと野田さん のは結構イメージ違うと私は感じました。どっちが良いとかは思いませんけど。

 ちなみに間奏のアルトサックスソロはT−スクウェアの本田雅人氏だそうです。実は結構長い曲で5分以上あります。


「伝説の少女」(作詞・作曲:尾崎亜美、編曲:富田素弘)

 ご存知観月ありさのデビュー曲。当時「美少女」として騒がれてましたが14歳での歌手デビューだったんですね。観月さんの歌唱で聞いたときは「なんか あっさりとこなしてるな」というイメージでしたが、亜美さんの歌唱ではアレンジの影響もあってもっとコッテリした感じになってます。

 当時はちゃんと聞いてなかったし観月さんにも興味がなかったので(失礼)、「芸能界の伝説に残るような美少女の話」だと勘違いしてたのですが、「伝説と か童話の中の少女になってみたい」という曲のようですね。(ようですねって、あんた…)

 なお、この曲は亜美さんのライブの定番でもあります。


「SOLO SAPIENS」(作詞:Chris Mosdell、作曲:尾崎亜美、編曲:林真史)

 これはハイトーンボーカリスト上田浩恵さんのデビュー曲。軽自動車のCMソングで当時はテレビでバンバン流れてました。(そちらは日本語詞で夏目純さん の作詞) 上田さんの方はアレンジが井上鑑氏なので、当然ながら結構違います。が、あんまり違わないと思う人もいるでしょう。(どっちやねん) 大筋で違 わないということは亜美さんのデモテープの段階で大体できあがってたんでしょうけど。

 亜美さんのヴァージョンではイントロに謎のセリフ(英語)が入ってて結構幻想的な入り方をしてるのが特徴。私はどっちが好きかというと、亜美さんヴァー ジョンのアレンジで日本語歌詞というのが一番の希望です。上田さんのヴァージョンも結構好きで、凄く高揚してるというか張り詰めた感じが伝わってくる熱演 だと思っとります。亜美さんの方がロックっぽい感じなのでしょう。いずれにしても歌おうと思うと凄く難しい曲です。

 ちなみに上田さんに提供した第二弾が「夢追いスナイパー」で同じくCMソングでした。「たった一人でも 越えられるロンリネス…」というフレーズを覚え ている人も多いのではないでしょうか。こちらは亜美さんのセルフカバーがまだないので是非聞いたみたいと思ってます。無理かなぁ。


「Souvenir」(作詞・作曲:尾崎亜美、編曲:富田素弘)

 高橋真梨子さんへの提供曲。ですが「これって誰に書いた曲だったっけ?」と考えて一番浮かんでこないのがこの曲でした。まぁそう言われればそういう感じ で、アルバム中で一番重いといえばそんな感じです。


「風の中で」(作詞・作曲・編曲:尾崎亜美)

 観月ありささんへの提供曲の第二弾。「伝説の少女」に結構感じが似てますが、もうちょっとサラっとした感じです。「取り換えたシャーペンが…」というあ たりが、若いアイドルに書いた曲という感じが出てます。私はあまり得意な感じではないというか、まぁあんまり好きじゃないというかなんというか。


「VENUS」(作詞・作曲・編曲:尾崎亜美)

 真璃子さんへの提供曲。そちらのヴァージョンは聞いたことがありません。この曲はNHKの東北ローカル番組「Youゆう東北」のオープニングテーマだっ た事があって、一時期は毎日夕方テレビから流れてました。亜美さん自身も99年10月4日にこの番組にゲスト出演したのですが、その時もこれがテーマ曲で 司会のアナ曰く「番組の女性スタッフ達の強い希望でこの曲がテーマに決まった」との事でした。「桜貝をビルの海に投げ 運命を変えるわ」というあたりが変 身願望の強い若い女性のハートを刺激するようです。

 楽しくてカッコイイ曲ですがよく聞くとリズムアレンジは複雑だし、中盤のメロディーも音程がとりにくいしサビは字あまりの逆で“字足らず”のような感じ だし、歌ったり演奏するとなると難曲でしょう。WOWOWで放送された「POINTS−3」ツアーの映像では序盤に演奏されてましたがその振り付けは目に 焼きついてます。私にとってはこのアルバムを象徴する曲です。

 なおイントロとか間奏の雄たけび(クレジットではAfrican Vocalsとなってますが)は、デーモン小暮閣下と佐藤竹善さんだそうです。


「ルーレット」(作詞:夏目純、作曲:尾崎亜美、編曲:林真史)

 こちらも真璃子さんへの提供曲。歌詞もメロディもポップな感覚が弾けている上にキラキラしたシンセの音が印象的ですごく楽しい曲です。資料によるとシン グル曲のカップリングだったようで、A面にしてもヒットしそうな感じですが。


「幾千の涙を贈りたい」(作詞:夏目純、作曲:尾崎亜美、編曲:林真史)

 山口由子さんへの提供曲だそうですが、私はこの人のことをまったく知りませんで今回調べてみましたところアイドルグループ「A−Cha」の一員としてデ ビューした後、この曲でソロデビューしたそうです。なおかつ東映映画「ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎完結編」にヒロインとして登場し、これがその 主題歌だったとか。いやいや世の中知らないことが多いものです。それを考えればもっとヒットしてもよかったような気がしますが、もしや私が知らないだけで 本当は大ヒットだったのかも…。

 ちなみにタイトルは「せんのなみだをおくりたい」と読みます。実際、曲としては相当かっこいいと思いますよ。そういう映画の主題歌だったと聞けばそんな 感じの歌詞ですが、ツッパリの人を対象にするにはタイトルの読み方が難しいのかも。(あ、また敵を作ったのかも)


「Happy Birthday」(作詞・作曲:尾崎亜美、編曲:富田素弘)

 横山知枝さんへの提供曲。この人のこともほとんど知らなかったのですが、調べてみたところ『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』(山田邦子司会)という テレビ番組にてWinkの鈴木早智子のそっくりさんという事でデビューしたそうです。

 私はこの番組を見たことないというか、当時放送されてない地域に住んでたのでまったく知りませんでした。ただ最近はYou Tubeというものがありますので、検索してみたところ横山さんの歌唱を目にする事ができました。

 この曲は番組内でも使われてたようですね。そちらへのコメントは避けますが、これは亜美さんがカバーして本当に良かったと。(思いっきり言ってる?)  なお、2003年末からの亜美さんのツアーでは会場内で誕生日の人がいた際のお祝いソングとして歌われてました。


「最後のGood Night」(作詞・作曲・編曲:尾崎亜美)

 光ゲンジへの提供曲だそうです。多分シングルではないと思うので、もちろんそちらのヴァージョンは知りません。男性アイドルへの提供曲というのはすごく 珍しいというか、ほとんどこれだけでしょうか? そう思ってみると歌詞が特にそうですね。光ゲンジのファンが当時どんな様子でこれを聞いてたのかはわかり ませんが、私とはまったく接点のない人たちなので知る由もありません。

 ちなみにこの曲は2003年秋からのツアーでも歌われてました。



 今回解説を書くにあたり久々にじっくり聞きましたが、シングルヒットを狙った曲ばかりなので印象に残るものが多いです。アレンジも結構凝ってますしじっ くり聞いてもさらっと聞いても良いアルバムです。数曲のアレンジを担当してる林真史氏は亜美さんの25周年記念のライブにも登場し、すごく懐かしい思いで その姿を拝見しました。そのときのメンバー紹介では「楽器屋で遊んでたところを拾ってきたのですが、まさかこんなに大きな存在になるなんて…」との事でし た。彼のアレンジの曲に注目してみるのも面白いかも。


<2008年2月記>

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